松阪市「和田金」で寿き焼をいただく

▶ 目次
1.松阪牛について

2.訪問の動機とアクセス
3.オーダーの秘訣
4.ヒレ肉のあみ焼は箸で切れる
5.寿き焼(松)に感動せよ

松阪牛は〈まつさかうし〉と読むのだ

松阪市にある「和田金」は、まさにブランド牛の走りのようなお店です。
現に、1935年(昭和10年)に「全国肉用畜産博覧会」という日本初の全国レベルの肉牛コンテストで、度会郡神社町(現・伊勢市)の農家が育てた雌牛が最高の賞である「名誉賞」を獲得しています。
「和田金」は明治11年に創業した精肉店がルーツ。松阪の牛肉を平切りにした「寿き焼」のスタイルを確立したのは、その5年後です。

このお店から提供される牛肉は、兵庫の但馬牛の雌牛のみで、松阪の隣町・嬉野にある自社牧場で育てているそうで、2年半育てたものだけが「松阪牛」と名乗れるのだとか。
焼き手の仲居さんから聞きました。
ビールを飲ませているという話も報道されていますが、食欲のない時期だけらしい。また焼酎をカラダにすりこんで、血行を良くしているという秘訣も。

念願だった和田金を訪問

東京ではあまり聞こえてきませんが、関西や名古屋の伊勢に近い地域では、〈松阪牛と言えば和田金〉という評判が行き届いているようです。
やはり、関東の割り下で作る牛鍋風のすき焼きを食う関東人と、鍋で砂糖と醤油で肉を焼きつけるのがすき焼きだと教え込まれている中部以西の違いでしょうか?
東京に移り住んで30年になるため、なかなか関西風のすき焼きを食べる機会がなかったので、ある意味、悲願でした。
京都の三嶋亭やモリタ屋でもよかったのですが、せっかく大枚を叩いて食すなら、やはり「和田金」でしょう。
決行は3月16日(土)。14時到着で予約済み。
東京から、東名→新東名→東名阪→伊勢自動車道で約7時間かけてたどり着きました。
*途中に名古屋で同行者をピックアップしています。


松阪インターから20分くらいの場所。電車なら松阪駅から歩けなくない距離です。
店構えは昔からある地方の有名旅館といった風情。

この向かいにある駐車場の門構えが立派でした。こちらが玄関かと勘違いしたほど。

これがロビー。

エレベーターの隣りの飾りつけも艶やか。
女将さん(もしかすると女中頭さん?)とスーツを着た案内係の女性に丁寧な挨拶を受け、靴を預けます。
予約を確認して、エレベーターに乗り、我々は3階へ。

完全に旅館です。案内係の女中さんに連れられて部屋へ。

朱塗りの円卓。まぁ、驚くほど豪華ということもなし。
ただ部屋の入口脇にあった木彫りの看板にはびっくり。

そんなにアピールしなくても…。
「焼き手」と呼ばれる仲居さんが来て、ご挨拶。キャリア6年だそうで、和服姿のなかなか美人な方。

さて、オーダーはどうする?

クルマなので、ウーロン茶とペリエを注文。メニューにはワインやウィスキーなども豊富でした。
食事は事前に決めてこなかったので、しばしお時間をいただきました。

ステーキは食べる気がなかったのですが、寿き焼だけではもったいないような…。
あみ焼にも惹かれます。両方食べられるコースもあるみたいで。

また、「牛肉櫃まむし」という新メニューもあって、普通の白飯からチェンジするお客さんも多いそうです。

肉の量がよく掴めないので、寿き焼コース(松)をそれぞれと、あみ焼(松)を1人分でシェアすることに決定。櫃まむしはバディと相談して遠慮することに。

和田金の特徴は、炭火ですき焼を焼くスタイル。菊炭という特注の炭だそう。
ステーキだけは厨房で焼くのだとか。
箸袋もチャーミング。

コースにしたので、3種盛りの前菜から運ばれてきます。

季節のセリー寄せ。

野菜のムース。

志ぐれ煮。

志ぐれ煮はご飯が進みそうな濃い目の味加減でしたが、他の2品はまぁ普通かなぁ。特に印象無し。
続いて、肉すましというお吸い物。

肉の出汁をしっかり感じる優しい味のお吸い物です。徐々にすき焼きへの期待感が盛り上がってきます。
前菜の最後は、かはり炙り焼。

牛肉のベーコンといったところでしょうか。ローストビーフの薄切りというのが正しいかな?

いよいよ、あみ焼の登場



肉はヒレです。特上にするとシャトーブリアンだそう。松でも単品で14,000円するので我慢我慢。

目の前で炭火で焼いてくれます。焼き手の仲居さんが全部やってくれるので楽ちん。

分厚いヒレ肉です。これで65gだとか。
驚くことにこれ、箸で切れるんです。

タレを塗りながら焼いている際に、地域柄もっと甘い味を想像していたのですが、それほど甘さを感じませんでした。
肉の滋味が堪能できます。本当に柔らかい。

クライマックスの寿き焼へ

あみ焼が終ったタイミングで、寿き焼の具材が運ばれてきます。

麗しの和田金のすき焼き肉です。
これは松なのでリブロース。いい具合に霜降りです。
意外と分厚くて、1人分2枚。1枚が65gだそうです。和田金の基本は65gなのね。

こちらが野菜。立派な椎茸。大分産です。こんなに厚みがあって形の綺麗な椎茸はお目にかかったことがありません。
麩に和田金の焼き印が入っています。
糸こんにゃくやしらたきは入れないそうです。肉を硬くするのだとか。
最も衝撃だったのは砂糖の量。

2人でこんなに砂糖を摂取するのでしょうか?
不安な顔をしていたら、「これ全部は使いませんから」と仲居さんが教えてくれました。
*でも、この半分くらいは入れていたような…。

南部鉄器の鍋に牛脂が入ります。
まずは肉を1枚ずつ焼いていきます。

ここからは動画でどうぞ。


表裏をさらっと焼いて、それぞれの器に盛ってくれます。勿論、卵は溶いておきました。

美味くないはずがありません!!
どこから見ても、柔らかい極上の牛肉です。そりゃそうだ、和田金の松ですから。
砂糖の加減も丁度よくて、嫌な甘さはありません。
無理すればひと口でいけそうなのを、少しでも長時間味わっていたい気分。
肉を半分食べ終わると、残ったタレで野菜を焼いていきます。

タレの量を見ていても、ヒタヒタではなく鍋というより焼いているという感じ。
これが「ザ・すき焼」です。


椎茸や麩、玉ねぎや豆腐をいただいて、最後の肉へ。

あみ焼も食べているので、お腹は充分いっぱいになっているのですが、これでお終いかと思うと実に名残惜しい。
最後まで味わって、寿き焼が終了。
まだデザートがあります。

笑ってはいけません。和田金では網で焼いた餅がデザートなんです。

それも餡子をつけて食べるのです。炭で焼いているので実際には美味しいんですけど、さすが赤福を生んだ伊勢の隣町。
まぁ、すき焼の後に、餅はいらないかなぁ。
最後の最後はメロンで口直し。

「最近、メロンって食べないよねぇ」って会話しながら、全ての食事が終了。
1時間におよぶ幸福な〈和田金ワールド〉でした。
満腹ですぐには立てず、お茶をいただいて、しばしニンマリ。
「お会計は1階で靴箱の札を渡してください」と言って、仲居さんが退出。
食べ過ぎて、カラダの重みを感じながら、立ち上がります。胡坐をかいただけで痺れる脚は年齢のせい?

宴のあと。1階に降りて、お会計。
2名で5万円超。久々のご馳走でした。ランチを50回抜かねば…。


お土産で購入した「牛肉の志ぐれ煮」です。

感想と言うか、これから来られる方々へのアドバイスでいうと、若い方や大食漢の方は肉の量に物足りなさを覚えるかもしれません。
寿き焼だけを注文すると、実質130gの肉だけですから、肉2枚で終了です。あまりの旨さに呑みこんでしまったら、それでお終い。肉を追加しようにも1人前1万円はかかるので用心が必要です。心して注文しましょう。
一生に一度はお伊勢参りといいますが、〈一生に一度の和田金〉にはしたくないものです。

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