「とんかつとんき」潜入レポ~《目黒のとんかつ御三家》勝手に比較①

目黒には「とんかつ御三家」と呼ばれる名店があるらしい

なぜか、目黒駅周辺には、行列ができるとんかつ屋さんが多くあります。
知っているだけでも3店舗。わざわざ食べに来るOBの方や、芸能人もいるそうです。
目黒駅前で勤めているご縁もあり、今回はこの御三家のレビューをさせていただきます。

地元の人じゃなくても知っている「とんかつとんき」さん


目黒駅西口から歩いて2分と離れていない、ビルの裏手にその店はあります。
*営業時間 16:00~22:45(L.O.) 火曜と第3月曜定休。
すぐ近くには、百段階段で有名な目黒雅叙園や、ホリプロやスターバックスの本社ビルがあります。
とんかつなのに、ランチタイムに営業していないため、会社の中でヒアリングしても、食べたことのない人が意外と多い不思議な店なんです。

開店は夕方4時。目黒の観光名所と言えるほど、いつも客が表で並んで待っています。
昭和14年創業で、池波正太郎氏も好んで来店したとか。でもこの「池波さんが愛した」ってフレーズ、あちこちで聞きません?

いろいろな店の常連だったようで、調べると本なんかも出てるんですねぇ。
ちょっとしたミシュランガイドかも? 
外国人客もやけに多いので、ガイドブックでよく紹介されているのでしょう。

ある意味、ここはトンカツの作法を味わうお店かと思います。
私も目黒に会社が移転して15年経ちますが、初めて訪問しました。
平日水曜のPM3:50、昼飯をこのために抜いた私と同僚のA氏で、どれくらい並んでいるものか見物に。
前日、休業だったのも影響してか、見ると10人くらい開店待ちのよう。スーツを来た単独のサラリーマンもいれば、旅行中らしいご婦人達や、若い女子ひとりなど客層も多士済々。

4時になり、店員のひとりが外に出て、お店を開けると客が思い思いに1階のカウンターの席につきます。
驚くのがこの白木のL字のカウンター。よく磨かれていて調理場も広くて機能的で、高級な寿司屋のよう。
座った順番に注文を聞かれ、職人たちがてきぱきと仕事を始めます。分業制が確立されていて、カツを揚げる人、キャベツを盛る人、それぞれが自分の役割をこなしていきます。

注文は私が「ロースかつ定食」(1,900円)、A氏がヒレかつ定食(1,900円)。


さて、我々の「とんかつ」は、オーダーを入れ、揚げること、時間にして20分弱。かなり長めです。
3度付けした小麦粉と卵に、細かめのパン粉を纏わせて、160℃のラードでじっくり揚げると紹介されています。さて、こちらの映像は、その日最初のトンカツが揚がって、切られる瞬間。


この後、このヒレカツは奥の間に持っていかれました。
オーナーか板長に味見してもらうのでしょうか?
他の2店舗はせいぜい10分でした。

4時ジャストに店に入った我々のもとに、ロースかつ定食が出されたのが4:25でした。
衣の見た目からして、普通のとんかつと違います。ザクザクのパン粉がいっぱい着いたとんかつではなく、硬いしっかりした濃い色の薄めの衣です。
硬めなので、中の肉と馴染まず剥がれやすいという特徴もあります。(肉のアップの画像参照)



それに切り方も独特。まず横に一本切れ目を入れ、それから縦に7等分。その横目も真ん中じゃないようです。
どなたかのサイトに書いてありましたが、均等に切らないのは、大きさの違いを楽しんでいただきたいからとか。

肉の上質さや、しっかり味のついた衣も美味しいのですが、あまり味わったことのない食感です。
他のサイトの口コミなどを見ても、この衣をクリスピーと表現する方もいれば、まるで濡れ煎餅と書かれている方も。
肉もロースとは言え、脂身たっぷりでジューシーという感じもなく、A氏と交換したヒレかつとそれほど違わない印象。火もしっかり通っています。
なんとも評価するのに悩ましいとんかつです。
脂っぽくないから、年配の方もたくさん通われているという側面もあるのでしょう。
キャベツやごはんもおかわり自由で、無くなると職人さんがめざとく見つけてキャベツを足してくれます。

豚汁は一度だけお替わりできるようです。
この豚汁が絶品。さすが、肉を扱う店の味噌汁。
2cm弱の角切りの豚バラ肉がしっかり主張していて、豚の旨みを残しながらも、こんなに上品な味の豚汁を初めていただきました。
昼間、豚汁定食やってくんないかな? 目黒のさんまとセットだったら、なお嬉しいのに。
下の画像は、別の機会に、ヒレかつ(下側)に串かつ(上側)をトッピングしたもの。串が刺さっていないため、写真では区別がつきませんが、玉ねぎが入っていましたので、確かに串かつでした。

串カツは1人前2本で800円。1本単位でも出してくれるそうです。
正直、あまり頼む価値はないです。

開店およそ40分後の4:40には、1階の全ての席が埋まりました。
この後は2階へ行くか、1階のカウンターの後ろにある椅子に座って待ちます。
夜行くとここにずらっと30人くらいの客が待ってて、さらに店外にも人が溢れているという驚くべき盛況ぶり。

中で待っている人はランダムに座っていて、ベテランの職人さんは入ってきた順番とオーダーを、完全に記憶しているそうです。
いやはや名人芸。これぞ老舗が老舗と呼ばれる所以なのですね。
近所のアトレ2の1階に、美登里グループの回転寿司1号店の「回し寿司 活美登里」があり、ここも人気店で行列待ちしていますが、座りながらズレていく方式なので、1000円床屋のQBと変わらず、スマートさは皆無。
とんきさんは、2名から予約も受け付けているようで、4人だと空いていれば座敷に通されます。一度体験しましたが、そこまではって感じでした。接待なんかなら、喜ばれるでしょうが、せいぜいとんかつなので、カウンターで食べたほうが通っぽくて粋な感じ。

総合的な評価をすると…、
たぶん僕らが美味いとんかつとしてイメージする、「サクサクしたパン粉の衣に、分厚い豚肉の脂がじゅわっと滲みでるカツ」ではないかもしれません。
だから好みも分かれるかと思います。少なくとも、僕の記憶の中の主流の「とんかつ」ではない。
A氏も感想を聞くと毎度、微妙な表情。「他の店のとは違いますね」といったコメントです。

また、鰻屋かと思ってしまうほど、料理が出てくるまでの待ち時間の長さも微妙。
でも食べ終わった後に、美味い、まずいを超えた不思議な満足感のある店。
結論を申すと、誰かをお誘いしてご招待するなら、他の2店ではなく、間違いなくここ。
「東京の粋なとんかつの名店」を「僕よく来るんですよ」って常連ヅラしたい時は、やはり「とんき」です。
職人たちのキビキビした仕事ぶりなどから滲み出る、老舗のいい雰囲気を味わった心地よさというのかな?
狭い店の混んでる中を、身体を横にしながら縫うように出てきて、金を払って店の外でフゥーッみたいなB級な感覚はなし。
これだけは他の2店舗にはない特徴でしょうね。
老舗の職人たちが奏でる〈とんかつエンターテインメント〉とでも言っておきましょう。
おひとり様なら大宝か、かつ壱へ行きます。値段も高いし…。
仕事中じゃなきゃ、ビールとピーナッツで一杯やりながら、トンカツが揚がるのを待つなんて、オツですな。

次回は、「《目黒のとんかつ御三家》勝手に比較②」として、ボリュームはピカイチの「かつ壱」をご紹介します

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