にっぽん鰻旅【第6弾】名古屋〈いば昇本店〉~櫃まぶし発祥?の店~

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前回、名古屋の鰻の名店「大和田」さんをご紹介しましたが、名古屋の鰻と言えば、やはり櫃まぶし。
名古屋の櫃まぶしなら、たいてい〈あつた蓬莱軒〉や〈備長〉の名前が挙がります。
では、発祥はどこなんだ?
ということで、調べてみると、必ず検索に引っかかるのが2つのお店。

〈いば昇〉さん、そして〈あつた蓬莱軒〉

明治6年の創業で、1985年に「ふつまぶし」を商標登録をしているのが〈あつた蓬莱軒〉。こちらの説の方が有名かも。
そもそも、櫃まぶしが始まったのは、大正時代の名古屋で、いば昇の先々代の木村市三郎さんが考え出したというのも通説のひとつ。
蒲焼として店に出すに堪えない質の悪いうなぎを、細かく刻んでご飯にまぶして茶漬けにして食べたのがはじまりというもの。
料理屋の賄い食として生まれたという噂もあって、お茶漬けとして食べるのは賄いとして、さっと食べられるからという話。だいたいが、メニューとして注目されだしたのが50年前くらいなので、歴史もはっきりしないんでしょうね。
鰻の質が悪かった終戦後に、硬い鰻をどうやって美味しく食べさせるかという知恵から生み出されたのが、この食べ方という意見に一票を投じます。
だってホントに旨い鰻だったら、蒲焼か白焼で食べるでしょうから。

今回、訪問したのは、本店の〈いば昇〉

蓬莱軒は観光地化していて、日曜昼の行列の想像がつくのでパス。
今では、このいば昇も、錦三丁目店と本店に分かれていて、この2つは経営も別だとか。
300mと離れていません。

どうも錦三丁目の方が、お店も綺麗で人気のようです。戦後に弟さんと暖簾分けしたそうなんですが、要領のいい弟の方が人気が出ちゃったりするのはよくある話。
でも、日曜に営業しているのはこちらだけなんで、〈いば昇本店〉を目指します。
朝11時の開店と同時に潜入です。場所は、名古屋・栄町の中心、広小路通りを名古屋駅方面に歩きます。

そう言えば、画像左側の丸栄百貨店は今年の6月末に閉店しちゃったんですねぇ。
創業して403年だったそうです。スカイルは営業しているみたい。いやだいやだ。

呉服町通と書かれた標識を左折。

この道は「プリンセス大通」とも呼ばれているんですね。

100m以上歩いて、すき家のところから顔を覗かせると、路地に沿って、お店があります。

一瞬、うらぶれた居酒屋に見えますが、これが正真正銘の櫃まぶし発祥のお店。
到着は10時55分。開店5分前でしたが、待っているのは私を含めて2組だけでした。

金曜日定休というのは珍しい。
店内は座敷とテーブル席。2階を入れればキャパは50人くらいありそう。
年季の入った女中さん3名が接客されています。


テーブル席に陣取って、さっそく注文です。
メニューはこんな感じ。


名古屋は鰻が安価です。
上鰻丼で2,650円というのは良心的。
東京ならこの1.5倍は取られそう。東京にも支店を置く〈備長〉なら、名古屋のお店でも鰻重で5千円近い価格。
※備長のマロニエゲート銀座1店は、上鰻重と上ひつまぶしが4,380円でした。

オーダーは、「上櫃まぶし」と「うまき」

ご飯は大盛りでお願いしました。きも焼きは時価だったので、こらえました。

新聞や雑誌が用意されているのが名古屋のお店らしいです。

ネットでお茶が薄いと評判でしたが、今日はそれほどでもないかな。
ただし、この急須はいただけません。老舗の名前が泣きます。
だいたい15分で料理は到着。
ほぼ一番乗りだったので、こんなものでしょう。


まずは、うまきから到着。
3分と待たずに、櫃まぶしも運ばれてきました。

うまきを先にいただきます。焼きも綺麗で、鰻の量もしっかり。
でも、あれ?、冷たい!!

今、作ったわけではじゃないんだぁ。
味は出汁がきいて、卵も鰻もちゃんとしています。これで温かければ…、残念です。
400円は適正かな。
さぁ、櫃まぶしの蓋を開けます。

鰻はやや太めに切ってあり、しっかり焼けています。

ただ、お櫃のサイズがちょっと小さくない?
他と較べたらどんな感じでしょう。
こちらが前回食べた大和田さん。

1~1.5cm直径が大きいような気がします。他店では白木のお櫃に入れたり、漆の豪勢な入れ物を使ったりしますが、ここんちのはちょっと貧相。
せっかくのご馳走ですから、もう少し見栄えも必要では?
この点が今のこのお店の現状を表しているような気も。
最初の1杯目は、4分の1に割って、そのまま茶碗によそいます。

ご飯に味が染みていて、普通に美味しいです。タレもそこまで甘目じゃなくて好感。
鰻はどうかな?
ちょっと焼き過ぎてない? 所々に焦げを感じます。

関東の蒸し焼きの鰻に慣れた私からすると、焦げてる鰻に違和感あり。まぁ、それでも充分旨いんですどね。
2杯目はねぎとわさびの薬味を載せて食べます。

逆にこれが、しっかり焼いた鰻とベストマッチ。
さらに山椒を振ると絶妙の味に一化けしました。

まだ十分な量が残っていたため、ここで出汁をかけてしまうと取り返しがつかなそう。次の一杯も薬味でいきます。
ここでお吸い物を一口。

肝吸いではありません。特に特徴なし。
特筆すべきはお漬物。鰻の老舗と言われるお店は、たいていお新香が旨いです。
そして、最後の一杯はお茶漬けです。

少し飲んでみたところ、完全なダシ汁。お茶の風味はなし。
これも美味しいですねぇ。味が濃いので合うのでしょうね。
残った汁もこんなに濃い色。

食べ終わったら、時間は11時40分。12時前で客は3組だけ増えていました。
しっかり焼いた鰻が好きなら、お薦めですかね。
櫃まぶしは基本、評価外にする方針でしたが、前回、「大和田」には93点をつけました。
なので、ここ〈いば昇本店〉の櫃まぶしには、100点満点で、78点とさせていただきます。
老舗とは思えない、雑な感じがマイナス点。冷たいう巻で10点減点しています。
テーブルの急須や山椒の入れ物にも、風格が感じられません。
野性味あふれる鰻も、仕事の丁寧さが足りないと捉えることもできそう。


私はもう櫃まぶしは遠慮しとくかなぁ。
機会があれば、次は錦三丁目店を食べ比べてレポートします。
ご馳走様でした。

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